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メインページ > ARIA > ネオ・ヴェネツィア

天野こずえの漫画ARIA及びその派生作品に登場する、実際のイタリア・ヴェネツィアをモチーフとする架空の都市。この作品の舞台となる。


注意以降の記述で物語に関する核心部分が明かされています。


概要

AQUA(旧称:火星)のネオ・アドリア海上に、21世紀前半の大規模なアクア・アルタによって水没したマンホーム(地球)のイタリア・ヴェネツィアを模す、もしくはカフェ・フロリアンなどのように解体復元や移築するなどして建造された都市で、マルコポーロ国際宇宙港浮き島など現在のヴェネツィアとは用途が異なったり存在しなかったりするものもあるもののほとんど瓜二つと言ってよく、テクノロジーの進歩などによる合理化が図られた世界にあって、昔ながらの生活が息づき独特の趣を持つ。

ネオ・ヴェネツィア本島及び周辺の地形は実際のヴェネツィアと同一とされているが、ARIAカンパニー社屋周辺や希望の丘など、実際とは異なる場所もある[1]

実際のヴェネツィア(本島、サン・ジョルジョ・マッジョーレ島及びジュデッカ島)は行政上6つの区(sestiere)に分けられるが、物語の主な舞台はサン・マルコ広場を中心とするサン・マルコ区と、その東隣のカステッロ区である。

  1. 原作における地理描写は一定でない。原作と実際のヴェネツィアとのすり合わせが比較的なされているアニメ版においても、ネオ・ヴェネツィア本島とジュデッカ島が馬蹄形に地続きになっていたり、アルセナーレ(Arsenale di Venezia、月刊ウンディーネでは「水先案内人ミュージアム」の所在地とされる)を含むカステッロ区東部がカットされていたりとまちまちである。

作中に登場する場所・地域

<googlemap version="0.9" lat="45.436828" lon="12.339106" zoom="14" width="650" height="450" controls="small" type="map"> 45.434129, 12.338609, #サン・マルコ広場 (Piazza San Marco) サン・マルコ広場 (Piazza San Marco) 45.433861, 12.340243, #マルコポーロ国際宇宙港/ドゥカーレ宮殿 (Palazzo Ducale) マルコポーロ国際宇宙港/ドゥカーレ宮殿 (Palazzo Ducale) 45.434434, 12.339878, #サン・マルコ寺院 (Basilica di San Marco) サン・マルコ寺院 (Basilica di San Marco) 45.433967, 12.340865, #ため息橋 (Ponte dei Sospiri) ため息橋 (Ponte dei Sospiri) 45.437979, 12.335941, #リアルト橋 (Ponte di Rialto) リアルト橋 (Ponte di Rialto) 45.446403, 12.346916, #サン・ミケーレ島 (Cimitero di San Michele) サン・ミケーレ島 (Cimitero di San Michele) 45.433831, 12.341659, #姫屋/ホテル・ダニエリ本館 (Hotel Danieli / Palazzo Dandolo) 姫屋/ホテル・ダニエリ本館 (Hotel Danieli / Palazzo Dandolo) </googlemap>

サン・マルコ広場 (Piazza San Marco)

作中でも実際のヴェネツィアでも有名な広場で、世界一美しい広場とも称される。9世紀にサン・マルコ寺院前の小さなスペースとして始まり、1177年に現在のL字型となった。

後述する各建築物や、作中ではあまり触れられていないが数多くの鳩[1]などと共に非常に有名で、旅行者や写真家が常時多数訪れ、作中でもたびたび登場する舞台となっている。平均して標高の低いヴェネツィア本島の中でも特に海抜が低く、アクア・アルタ発生時に最も沈みやすい場所でもある。

サン・マルコ小広場 (Piazzetta San Marco)

Venezia San-Marco

サン・マルコ寺院からサン・マルコ小広場を望む。向かって左手がドゥカーレ宮殿、右手がマルチャーナ図書館

マルチャーナ図書館(Libreria Marciana、『サン・マルコ図書館(Biblioteca di San Marco)』とも)とドゥカーレ宮殿の間の区画は、実際のヴェネツィアでは特に「小広場(La Piazzetta)」と呼ばれる。作中にはこの名称は登場しないが、解説の利便性などに鑑み、本記事では以降「サン・マルコ小広場」や「小広場」も使用する。

小広場にある2本の柱にはそれぞれ頂上に聖マルコの獅子の彫像と聖テオドーロの彫像が配されている。ここはヴェネツィア共和国時代には処刑場とされ、その逸話を藍華・S・グランチェスタが語る場面がARIA 第八巻 Navigation 38「墓地の島」(ARIA The NATURAL 第20話「その 影のない招くものは…」に相当)の導入部となる。

前述にあるように作中でよく登場する「サン・マルコ広場」とその風景であるが、その多くはこのサン・マルコ小広場に相当する場所である。

サン・マルコ寺院 (Basilica di San Marco)

ARIA 第八巻 Navigation 39「秘密の場所」(ARIA The ORIGINATION Special Navigation「その ちょっぴり秘密の場所に…」に相当)での舞台となった場所。同話 P.136-P.137 の見開きは、この寺院の南側テラスから小広場を見たものであると思われ、右上の写真と構図が一致する。

ヴェネツィア共和国は1082年の金印勅書発布まで名目上東ローマ帝国(ビザンティン帝国)の領土であった[2]ことから12世紀までの建築物や美術品にはビザンティン文化の影響が強く、本寺院はビザンティン建築ウィキペディアへのリンクの代表的な建築物とされる。828年に現在のドゥカーレ宮殿の位置に創建され、その後何度も移転・再建を繰り返し、1090年代に現在の建物の基礎となる形ができた。創建以来ヴェネツィア共和国総督の礼拝堂であったが、共和国滅亡後の1807年、それまでのサン・ピエトロ・ディ・カステッロ聖堂からヴェネツィア総大司教座が移転した。金装飾の施されたビザンティンモザイクによる豊かなデザインは、ヴェネツィアの富と力の象徴とされ、11世紀から Chiesa d'Oro(Church of Gold / 黄金の教会)というニックネームで知られている。

出雲暁が「馬のケツ」と言っていたブロンズ像(La quadriga)は、聖マルコの馬 (Triumphal Quadriga) と呼ばれる四頭立て馬車を描いた像で、1204年に第4回十字軍ウィキペディアへのリンクにおける戦利品としてコンスタンティノポリス(現在のイスタンブール)から持ち込まれた。その後1797年にナポレオンによってカルーゼル凱旋門デザインのため一度パリへ運ばれ、ナポレオン没落直後の1815年に戻されている。オリジナルの像は大気汚染による劣化が進んだため、1980年代前半に寺院内部へと移されており、テラスにあるのはレプリカとなっている。

マルコポーロ国際宇宙港/ドゥカーレ宮殿 (Palazzo Ducale)

Ducale from-sea

カナル・グランデから大鐘楼(中央左よりの塔)とドゥカーレ宮殿(中央)を望む

Basilica

サン・マルコ寺院

Bridge of Sighs

ため息橋(中央)。左手がドゥカーレ宮殿、右手が新牢獄、真ん中を流れるのがパラッツォ運河。

View from the Bridge of Sighs

ため息橋からカナル・グランデを望む。真ん中に見えるのが、灯里と暁が待ちぼうけをくらっていたパッリア橋 (Ponte della Paglia)。

Caffè Florian entrance

カフェ・フロリアン入り口。

Caffè Florian inside

カフェ・フロリアン内部。

Canal-Grande

カナル・グランデ

Ponte Rialto

カナル・グランデからリアルト橋を望む。

AQUA 第一巻 Navigation 01 「水の惑星」 でマンホームからやってきた水無灯里が降り立った場所であり、その後もさまざまな場面で登場する。150年前のAQUAテラフォーミング開始に際して入植してきた人々を管理する移民総督の宮殿として建てられた[3]もので、現在はネオ・ヴェネツィアの空の玄関口となっている。

実際のドゥカーレ宮殿は9世紀に建造され1309年から1424年にかけて現在の形となったゴシック様式宮殿であり、低層部のアーチ作りが特徴。ヴェネツィア共和国総督官邸・政庁として使われ、現在では博物館(Museo Civico di Palazzo Ducale)として保存されている。後述するため息橋は、この建物の東側、サン・マルコ小広場から見ると反対側から牢獄へとつながっている。

なお「マルコポーロ国際宇宙港」という名称は、実際のヴェネツィアへの航空アクセス拠点であるマルコポーロ国際空港( Aeroporto "Marco Polo" di Venezia)に由来する。イタリア本土側のテッセラ(Tessera)に位置し、ヴェネツィア本島へはヴァポレットで向かう。

大鐘楼 (Campanile di San Marco)

プロクラティエ・ヌオーヴェ(カフェ・フロリアンを参照のこと)東角に立つ鐘楼。9世紀に建てられ、1514年に現在の形となった。高さ98.6m。

当初はサン・マルコ広場内にあったドックの見張り台であったが、12世紀の改築後にはドゥカーレ宮殿の警備兵宿舎が設けられたこともある。

歴史上、数度にわたって火災や地震の被害を受けており、その度に修復・再建を重ねてきた。その中でも最大のものが1902年7月14日朝に起きた倒壊事故で、大鐘楼自体が完全に崩壊した上、隣接するマルチャーナ図書館も被災した。しかしヴェネツィア市議会は直ちに50万リラの資金投入を含めた再建案を議決、10年近い工期を経て1912年4月25日に竣工した。

ARIA The OVA 〜ARIETTA〜では、晃・E・フェラーリアテナ・グローリィが、グランマこと天地秋乃の引退・退社後、先輩も後輩も無く一人でARIAカンパニーを経営していかなければならない立場に悩むアリシア・フローレンスをここに連れて行っている。この時、晃は大鐘楼の被災と再建の歴史をウンディーネの在り方に例えてアリシアを励ましている。

派生企画本である月刊ウンディーネの第4~6号に掲載された漫画『Nice! プリマをねらえ!』では、ネオ・ヴェネツィアのウンディーネに挑戦してきた集団「コンセンテンス」の一人・ヴィーナスが、舟謳を衝撃波とする技「審美の断罪(ジャッジメント・ハウリング)」で大鐘楼上層部を破壊し、鐘を海中に跳ね落としている。

ため息橋 (Ponte dei Sospiri)

ARIA 第一巻 Navigation 03「ため息橋」 にてクローズアップされた名所。白い石灰岩で囲まれた橋に石でできた格子状窓がはめられており、パラッツォ運河(Rio di Palazzo・写真中央部を流れる運河)上を新牢獄(Prigioni Nove・写真右)からドゥカーレ宮殿尋問室(写真左)へとつなぐ。1600年から1603年にかけて作られた。

名前の由来は、投獄される囚人にとってヴェネツィアの景色を見るのはこの橋からが最後であり、その美しい景色にみなため息をついたであろう、と詩人ジョージ・バイロンが名付けたものである。

カフェ・フロリアン (Caffè Florian)

ARIA 第五巻 Navigation 25「影追い」の舞台。サン・マルコ広場の一角に店を構える。ゴンドラ協会の会合はこの店で開かれる。

マンホームのヴェネツィアでは21世紀前半の大アクア・アルタで市全体が水没する以前、事態の到来を予期して大規模な保存計画が立てられていたらしく[4]、カフェ・フロリアンも一旦解体され、ネオ・ヴェネツィアの建設に伴い復元移築された。この時、マンホーム時代の調度品は博物館に寄贈している。

現実のカフェ・フロリアンは1720年12月29日、プロクラティエ・ヌオーヴェ(Procuratie Nuove、新行政館)1階にて開業した。当時の屋号はカフェ・アッラ・ヴェネツィア・トリオンファンテ(Caffè alla Venezia trionfante)と言ったが、後に創業者フロリアーノ・フランチェスコーニ(Floriano Fracesconi)にちなむ現在の名称で呼ばれるようになった。カフェ・ラテはこの店で考案されたと言われる。

プロクラティエ・ヌオーヴェは17世紀前半、ヴェネツィア共和国の庁舎として建てられた。月刊ウンディーネの第5巻では、姫屋が館内の大ホールで支店開業記念パーティを開いたと報じている。

ARIAカンパニー

詳細はARIAカンパニー#建物を参照。

姫屋/ホテル・ダニエリ本館 (Hotel Danieli / Palazzo Dandolo)

詳細は姫屋#建物を参照。

オレンジぷらねっと

希望の丘

詳細は希望の丘を参照。

大運河 (Canal Grande)

作中、実際のヴェネツィアいずれにおいても市内を貫く運河。作中では「メインストリート」という言い方もされる。(ネオ・ヴェネツィア本島の地理が実際のヴェネツィア本島と同じであるならば)本島北西から南東にかけて、逆S字状に湾曲しながら本島を二分して、サン・ジョルジョ・マッジョーレ島近くでジュデッカ運河(Canale della Giudecca)と合流しサン・マルコ運河(Bacino San Marco)となる。

カナル・グランデに架かる橋は3本しかない[5]。サン・マルコ広場に近い順にアカデミア橋リアルト橋、サンタ・ルチア駅(Stazione di Venezia Santa Lucia)に架かるスカルツィ橋(Ponte degli Scalzi)である。なお現実のヴェネツィアでは、ARIA連載中にサンタ・ルチア駅とローマ広場(Piazzale Roma)を結ぶ「第4の橋」憲法橋(Ponte della Costituzione)が建設中であったが、作品には反映されていない(完成は原作、アニメ版がともに終了した後の2008年9月18日)。

AQUA 第一巻 Navigation 01「水の惑星」で、郵便屋のおじさんのゴンドラに便乗する羽目になった灯里は、市内に張り巡らされた運河を巡った末にこのカナル・グランデにたどり着く。ARIA 第五巻 Navigation 24「マルガリータ」でも、満潮の時刻を読み誤り立往生しかかった灯里たちのゴンドラが、半ば水没した廃屋の水揚げ場を通過して抜けた先がカナル・グランデであった。

リアルト橋 (Ponte di Rialto)

カナル・グランデにかかる3つの橋のうちの一つで、白い巨象とも呼ばれる。

サン・ポーロ区のソトポルテゴ・デル・リアルト(Sotoportego del Rialto)を中心とするリアルト地区はヴェネツィア本島で最も海抜が高い事から、古くから人が住み着いていた。9世紀初頭、それまでリド島(Lido di Venezia)のマラモッコ地区にあったヴェネツィア共和国の首都機能が移転したのを機にリアルトは政治・経済の中心として発展を遂げた。1181年に、ニッコロ・バラッティエーリ(Nicolò Barattieri)によって最初の橋が浮橋としてカナル・グランデに架かり、1255年に通行量上昇に伴い木製の橋へと架け替えられた。崩落や暴動によって一部が燃えるなどを経て、1591年にアントニオ・ダ・ポンテ (Antonio da Ponte) によってデザインされた現在の石造りの橋となった。

原作では物語に大きく関わることこそないが、随所で印象的に登場する。例えばARIA 第六巻 Navigation 27「ヴェネツィアンガラス」(ARIA The NATURAL 第11話「その 大切な輝きに…」に相当)では、ガラス工房からマルコポーロ国際宇宙港に向かう途中で、灯里の漕ぐゴンドラはリアルト橋をアンダークロスする。また月刊ウンディーネ第6巻には、アリシアの引退セレモニーの際、アリシアのゴンドラがこの橋をくぐる瞬間を狙って橋上から花束を投げ渡した者がいたとの描写がある。

アカデミア橋 (Ponte dell'Accademia)

カナル・グランデにかかる3つの橋のうちの一つ。ARIA 第十巻 Navigation 50「課外授業」(ARIA The ORIGINATION 第6話「その 素敵な課外授業に…」に相当)の後半で、アリシアとアリス・キャロルが連れ立ってこの橋を渡っている。

現実のヴェネツィアでは、1854年にカナル・グランデ第2の橋として開通した。当初は鉄橋であったが、潮風による侵食が進んだことなどから、1932年、石造の橋に架け替える計画が立案された。これに伴い1933年に木製の仮橋が設けられ、鉄橋は解体された。しかし計画は頓挫し、仮橋のはずだった木製の橋は現在まで残ることになる。

スカルツィ橋に意匠が似るが、これは設計者がリベルタ橋の設計やスカルツィ橋の架け替え(1932年)も手がけたエウジェニオ・ミオッツィ(Eugenio Miozzi)だったためである。

トラム大通り前/リベルタ橋 (Ponte della Libertà)

ARIA 第六巻 Navigation 30「銀河鉄道の夜」及びARIA The NATURAL 第21話「その 銀河鉄道の夜に…」にて、アリア社長から渡されたチケットを手にした灯里が、猫たちの乗る銀河鉄道を待っていた場所。何の変哲もない橋のたもとである。

作中の描写及び灯里の台詞と現実のヴェネツィアの地図を照らし合わせると、この場所は現実のリベルタ橋(並びに隣接の鉄道橋)の橋詰に相当する。リベルタ橋[6]は1933年、スカルツィ橋・アカデミア橋の架け替えも手がけたエウジェニオ・ミオッツィの設計でヴェネツィア潟(Laguna di Venezia)に架けられた自動車専用橋で、トリノとヴェネツィアを結ぶ総延長429kmの国道11号線(Strada Statale 11 "Padana Superiore")の終端部である。リベルタ橋を渡ってヴェネツィア本島内に入った旅行者は、本島西部のサンタ・クローチェ区にあるローマ広場またはトロンチェット広場(Piazzale Tronchetto)に駐車して島内を周遊する[7]。隣接の鉄道橋は1842年に、それまで孤島であったヴェネツィア本島とイタリア本土を結ぶ最初の陸上ルートとして開通している。

ネオ・ヴェネツィアでは、現実のヴェネツィア同様、鉄道駅はサンタ・ルチア駅しか存在しない。しかしサンタ・ルチア駅に入る路線は単線・非電化である上、リベルタ橋に相当する橋は歩道との併用橋と思われる点が現実と異なる。なお、この鉄道路線は銀河鉄道に絡む場面[8]に登場することが多いため灯里の空想上の存在と思いがちであるが、ARIA 第十巻 Navigation 47「エピファニア」にも1コマのみ登場している。

ヴァポレット (Vaporetto)

水上バス。ネオ・ヴェネツィアにおいても実際のヴェネツィアにおいても、本島内のみならずサン・ミケーレ島やリド島、ムラノ島(Murano)などヴェネツィア潟内の諸島への足として利用されている。実際のヴェネツィアにおいてはヴェネツィア交通公社(Azienda del Consorzio Trasporti Veneziano,ACTV)によって運営されており、本島内を走る市中線(Linee Centrocittà)と市内循環線(Linee Giracittà)、ヴェネツィア本島-ヴェネツィア潟諸島を結ぶ潟内線(Linee Lagunari)、マルコ・ポーロ国際空港にアクセスする空港線(Linee Terminal)、スタジオナリ線(Linee stagionali)の計5路線25系統が運行されている。

ARIA The NATURAL 第10話「その あたたかな街と人々と…」のベースであるARIA 第七巻 Navigation 34のタイトルにもなっており、作中で藍華とアリスは、顔見知りが地元民である自分たちよりはるかに多い灯里の秘密を探るべく、彼女の後を追ってヴァポレットに乗り込む。二人が乗り込んだヴァポレットの行き先については、原作中では市内循環線[9]の看板が見える事とカナル・グランデらしき運河を進む描写がある以外は明らかでないが、このエピソードの回顧という設定の月刊ウンディーネ第5号の記事「新プリマと巡る思い出の地」では、藍華はブラーノ島行きと言明している[10]

トラゲット (Traghetto)

詳細はトラゲットを参照。

パラッツォ・コンタリーニ・デル・ボーヴォロ (Palazzo Contarini del Bovolo)

サン・マルコ区中部、サン・マルコ広場の北西に位置する建物、1499年、ヴェネツツィアの名家コンタリーニ家によって建てられた邸宅で、特徴的な螺旋階段で知られる。なお月刊ウンディーネ第1号の表記「コンタリーニ・ディ・ボーヴォロ」は誤り。

ARIA 第十巻 Navigation 47「エピファニア」にて、魔女のベファーナに扮したアテナがアリスを誘ったのがここの前庭である。第十巻ではこの他にカラー扉と裏表紙(1対になっている)にも描かれている。

余談であるが、コンタリーニ家は1420年代にもヴェネツィアンゴシックの代表建築「カ・ドーロ(Ca' d'Oro)」を建てている。ARIA The ORIGINATION 第四話「その 明日を目指すものたちは…」はこのカ・ドーロ付近が舞台である。

サン・ミケーレ島 (Cimitero di San Michele)

ネオ・ヴェネツィア北部に浮かぶ小島。島全体が墓地となっている。

ARIA第八巻 Navigation 38「墓地の島」及びARIA The NATURAL 第20話「その 影のない招くものは…」では、灯里はサン・マルコ小広場で出会った黒衣の婦人の依頼で向かったこの島にて、奇妙な出来事に遭遇する。

実際のヴェネツィアでは、ヴェネツィア本島の北東、ムラノ島との間に位置する。島内にはサン・ミケーレ・イニーゾラ教会 (Chiesa di San Michele in isola) とサン・クリストフォーロ教会 (Chiesa di San Cristoforo)という2つの教会があり、墓地は両教会を中心にして広がっている。サン・クリストフォーロ教会周辺はもともとサン・クリストフォーロ・デッラ・パーチェ島(San Cristoforo della Pace)という独立した島であったが、1837年の墓地拡張にあたり、衛生上の理由から間を隔てる運河が埋め立てられ、サン・ミケーレ島と一体となった。

当地に埋葬されている著名人としては、バレエ・リュス(ロシア・バレエ団)の創設者セルゲイ・ディアギレフ、20世紀を代表する作曲家・ピアニストの一人イーゴリ・ストラヴィンスキーなどが挙げられる。

ブラーノ島 (Burano)

ヴェネツィア潟に浮かぶ島のひとつで、ヴェネツィア本島の北東、ムラノ島を越えた先に位置する。ヴェネツィア共和国初期の重要拠点であったトルチェッロ島(Torcello)に近く、1872年の災害を機にヴェネツィアン・レース編みの拠点となった。

原作では取り上げられていないが、アニメ版では「ネオ・ブラーノ島」の名前で、オリジナルエピソード[11]であるARIA The ORIGINATION 第7話「その ゆるやかな時の中に…」に登場。アリシアの先輩プリマだったアンナが、結婚引退後この島に住んでいる。

パリーナ(Palina)・ダーマ・ブリコラ(Bricola)・彩色パリーナ

いずれも作中において水路に設けられている、ゴンドラの航行に不可欠な構造物。 ARIA 第九巻 Navigation 41「パリーナ」(ARIA The NATURAL 第4話「その いちばん新しい想い出に…」に相当)にて触れられている。

パリーナは簡単に言えば「杭」で、ネオ・ヴェネツィアの水路に無数に立てられている。作中で灯里はパリーナを使ってゴンドラを加速させていた。

パリーナには彩色されている物もある。これは特定の家や会社を示す標識である。ARIAカンパニーの彩色パリーナは創業直後、最初の新入社員(つまり独立後のグランマの最初の弟子になる)が立てたもので、螺旋状の2トーンカラーだった。経年劣化が進んだため、アリシアの勧めで灯里は新しい彩色パリーナを立てることになった。デザイン及びカラーリングはARIAカンパニーの制服をイメージしたものになっている。

ダーマは3本の杭が束になっているもので、水路の出入口や交差点を示す。

数本の大きな杭が束になっているのがブリコラである。ネオ・ヴェネツィアにおいて、ブリコラが設けられた水路は大型船の航行が可能である。またブリコラにはナンバリングがされており、ウンディーネなどのゴンドラ漕ぎは地図と照合して現在位置を確認する。なおイタリア語の一般名詞としての「ブリコラ」とは、船舶の係留に用いられる係船杭(ドルフィン)を指す。

作中に登場するイベント

アクア・アルタ (Acqua Alta)

詳細はアクア・アルタを参照。

夜光鈴

ヴォガ・ロンガ (Vogare Longa)

カーニヴァル (Carnevale)

ボッコロ

レドンテーレ

ゴンドラの火送り

エピファニア

海との結婚 (Sposalizio del mare)

ネオ・ヴェネツィアで4年に一度行われる大催事。ARIA 第十一巻 Navigation 52やARIA The NATURAL 第23話「その 海と恋と想いと…」の題材である。

ブチントーロ(Bucintoro)と呼ばれる舟を守るようにして数百艇のゴンドラがサン・マルコ広場を目指して行進し、ウンディーネらによる指輪の投げ入れでクライマックスを迎える。藍華の言葉を借りれば、ウンディーネにとっては「街の象徴として、水の妖精の名に恥じない華麗なオールさばきを見せる、とっても責任重大で名誉ある」イベントである。

原作では、ゴンドラ行進の配列は先頭から順にペア→シングル→プリマ→アリシア・晃・アテナ→護衛のガレー船→ブチントーロとなっている。ブチントーロには統率者役としてゴンドラ協会理事長(原作設定)またはネオ・ヴェネツィア市長(アニメ版設定)が乗り込むが、Navigation 52では特別にグランマが乗っていた。

実際の「海との結婚」は、1000年の昇天祭において時のヴェネツィア共和国総督ピエトロ・オルセオロ2世がダルマチア半島征服を記念して執り行ったのが起源であり、現在も昇天祭のメインイベント「フェスタ・デッラ・センサ(Festa della Sensa)」の一環として行われている。ゴンドラの行進ルートは原作とは逆で、サン・マルコ広場からリド島北部のサン・ニッコロ(San Nicolò)沖に向かうものとなっている[12]。原作でグランマがブチントーロに乗っていたのは、ブチントーロが総督のお召し舟だったからであり、実際の「海との結婚」ではヴェネツィア市長が総督役としてブチントーロに乗っている。

脚注

  1. ヴェネツィア市は2008年4月30日、フン被害などを理由として、鳩への餌やりを禁止する条例を施行した。今後は鳩の数が減っていくかも知れない。次の記事も参照。
    ベネチアがハトの餌やりを禁止、違反者には罰金 - ロイター
  2. 実質的には、803年に東ローマ皇帝ニケフォロス1世とフランク王カール1世(シャルルマーニュ)の協定「パクス・ニケフォーリ」の時点で、ヴェネツィアの独立は承認されていた。
  3. ARIA 第一巻 Navigation 03「ため息橋」より。
  4. 「影追い」での灯里のモノローグ及び月刊ウンディーネ第1号のコラム「この人に聞きたい」でのアントニオ・コルレオーネの発言より。
  5. 実際のヴェネツィアではリベルタ橋もカナル・グランデに架かるが、通常はカウントされない。
  6. 開通時の名前はリットリオ橋(Ponte Littorio)。現在の名前になったのは第2次世界大戦後。
  7. トロンチェット広場は市街地からはやや離れているため、ここでヴァポレットに乗り換えることになる。
  8. 他にはARIA 第十一巻 Navigation 53「ケット・シー」にもある。
  9. 「51」「52」「61」「62」「41」「42」の系統番号が表示されているのがそれ。ACTV - Wikipediaイタリア語版も参照されたい。
  10. 潟内線に属し、サン・マルコ広場からリド島を経てヴェネツィア潟開口部のプンタ・サッビオーニを経由する(ACTV - Wikipediaイタリア語版による)ため、原作の描写とは矛盾する。
  11. ただし、作中の挿話はARIA 第九巻 Special Navigation「アクアマリン」が原作。
  12. Sposalizio del mare - Wikipediaイタリア語版による。

外部リンク

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